BS1スペシャル「欲望の資本主義2019~偽りの個人主義を越えて~」
お正月の雰囲気そのままに、他放送局がバラエティー番組を放送する中、NHKによる経済ドキュメント番組が放送されました。
過去の放送内容は書籍にもなっています。
- 作者: 丸山俊一,NHK「欲望の資本主義」制作班,安田洋祐
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2017/03/24
- メディア: 単行本
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今回の放送内容は、GAFAと呼ばれるグローバル企業の世界経済への強大な影響力を指摘しながら、アダム・スミス、マルクス、ハイエク等、経済思想家の思想がどのように現実の世界に影響を与えたか論ずるものでした。
強大企業による市場の独占が競争を阻害し、企業が国家のようになるという議論を聞きながら、グーグルやアップル等の強大企業と、共産党政権下の中国政府は、理念や思想、民間と政府という違いはあるにせよ、ある意味では似始めてきているのかもしれません。先端テクノロジーによる消費者の選好の把握(とコントロール)という意味で。
番組では、フリードマンを新自由主義を推し進めた思想家として、アダム・スミスやハイエクの本来の主張を対比しながら、やや批判的に描いていましたが、フリードマン以降の経済学者の思想や現実の金融市場の担い手であるヘッジファンド、投資家の感覚と比べると、フリードマンはそれでもまだ「穏健的」だと思うので、悪役にされてしまったフリードマンの描かれ方は、ちょっと可哀想かなとも感じましたが、とても見所のある番組でした。